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2016.11.12

ルーブリックの作り方の種類

11月5日に、第40回AJG研究会「アカデミック・ジャパニーズにおけるパフォーマンス評価としてのルーブリックを考える」でレポート関連の話題提供をしてきました。

その際に関西大学の黒上晴夫先生による
「パフォーマンス評価としてのルーブリック」
という講演が面白かったので少しまとめておきたいと思います。

現在のアクティブラーニングが出てきた背景から
ルーブリックの実践的な活用方法などとても勉強になりました。

その中で「ルーブリックの作り方」についての説明がありました。
スライドではルーブリックの作り方として次の3種類があるとのことでした。

・作品を集めて段階分け→共通点を基準に(西岡)
・評価ポイントを序列化→組み合わせて基準に(安藤)
・授業目標の達成度を段階化→規準と+α(黒上)

この点は以前から気になっていたことです。
ルーブリックの作り方の説明において、説明する人によって2パターンあると思っていました。
一つは上記の西岡先生(や田中耕治先生、石井英真先生)の作品群をベースにレベル設定をするというものです。
もう一方は、上記の安藤先生や黒上先生のように、作品群から独立に観点やレベル設定をするというものです。

なんとなく2パターンあると思っていたのですが
明確に説明を受けてすっきりしました。

個人的には作品群をベースにして作成するのがよいのではと思っています。
作品群から独立に設定された観点やレベルはあまりうまく機能しないのではないかというのが一つの理由です。
また、同じ事ですが、ルーブリックは、個別の作品がなぜそのレベルの評価を受けるのかを教師が説明するためのものであると思うからです。
このあたりは石井先生の御著書が参考になると思います。

黒上先生になぜ西岡先生バージョンを採用されないのかの理由を伺いました。
その理由は、「ルーブリックは授業での評価に使うものであり、事前に生徒に示すべきであるが、ルーブリック作成のために作品群を集める際にはルーブリックを事前に学生に提示できないから(大意)」ということのようでした。
これは確かにそうで、最初の作品群をどのようにして集めるかは問題となると思います。
しかし、長期的に見れば、その1回目の作品群の収集に問題があったとしても
2回目以降はその問題はクリアされるのではないかと思いました。
その点も休憩時間に黒上先生に質問してみたのですが、時間切れでその後意見交換ができませんでした。

上記のルーブリック作成法の2パターンは実質的には本質的な違いではないかもしれません。
というのも、作品群ベースではない作成法も、これまでの授業経験から、頭の中で作品群をイメージしながら観点やレベルを考案しているだろうからです。

いずれにせよ、ルーブリックは1度作成したら完成、というものではなく、常に改善が必要となってくるでしょう。
その際の基準は実際の作品群がベースになるのではないかと思います。

2016.11.07

【12/18】公開研究会「学生を思考にいざなうレポート課題とは?」の開催

この度、成瀬尚志編『学生を思考にいざなうレポート課題』(ひつじ書房、12月12日刊行予定)を出版することになりました。

Amazon商品ページ

ひつじ書房の紹介ページ

どのようなレポート論題(「~について説明せよ」などの教員からの指示文)が学生の思考を誘発するのか、また「コピペ」を防ぐにはどのような論題がよいのかについての議論を中心に、レポートを取り入れた授業設計や評価についても検討した書籍となります。
つきましては、下記の通り、12月18日(日)に合評会を兼ねた研究会を開催します。

コメンテーターに、

松下佳代先生(京都大学)
伊勢田哲治先生(京都大学)
西垣順子先生(大阪市立大学)

をお招きし、議論します。
書籍内容に関する紹介をかねた報告も当日行ないます。当日までにお読みいただく時間のないみなさまも、ぜひご参加ください。
また、当日はこの書籍を割引価格で販売いたします。

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○公開研究会「学生を思考にいざなうレポート課題とは?」
【日程】12月18日(日) 13:30-17:00(開場13:00)
【会場】TKP京都四条烏丸カンファレンスセンター ホール2A
【参加費】無料
【定員】80名
【申込締切り】12月14日(水)
【主催】科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)「剽窃が困難となるレポート論題の類型化と論題に応じたルーブリックの開発」(代表:成瀬尚志)
【申込方法】
以下のフォームからお申し込みください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/4812a670472281

【概要】
学生が頭を使ってレポート課題に取り組むためにはどのような工夫が考えられるでしょうか。本研究会では、学生が頭を使わないと書けないレポート論題分析を中心とした、成瀬尚志編『学生を思考にいざなうレポート課題』について検討します。

【プログラム】
司会:崎山直樹(千葉大学)

13:30~13:35 はじめに

13:35~13:50 「『学生を思考にいざなうレポート課題』の紹介」
児島功和(山梨学院大学)

13:50~14:30  「学生を思考にいざなうレポート論題とレポート論題タキソノミー」
成瀬尚志(京都光華女子大学短期大学部)

14:30~15:30  コメンテーターからのコメント
コメンテーター:
松下佳代先生(京都大学)
伊勢田哲治先生(京都大学)
西垣順子先生(大阪市立大学)

15:30~15:45 休憩

15:45~16:10 コメントへのリプライ
成瀬尚志、笠木雅史(京都大学)、児島功和

16:10~16:55 全体討論・質疑応答

16:55~17:00 おわりのあいさつ

【会場へのアクセス】
http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-kyoto-shijokarasuma/access/

【お問い合わせ】
京都光華女子大学短期大学部
成 瀬 尚 志
t-naruse【@】mail.koka.ac.jp

2016.11.07

成瀬尚志編『学生を思考にいざなうレポート課題』まもなく出版されます

これまで科研費「剽窃が困難となるレポート論題の類型化と論題に応じたルーブリックの開発」で研究してきた成果が

成瀬尚志編『学生を思考にいざなうレポート課題』(ひつじ書房)
http://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-89476-827-7.htm

としてまもなく出版されます。

この本では、どのように論題(「~について説明せよ」などの教員からの指示文)を工夫すればコピペレポートが少なくなるかの分析と具体的な効果的論題を紹介していますが(第3章)
それ以外にも、授業設計や評価の観点など総合的にレポート課題について検討がおこなわれています。

昨年度この科研で開催した公開研究会「レポート課題で何を問うべきか?」でご登壇いただいた、河野哲也先生と石井英真先生にもご寄稿いただきました。

ぜひお手にとっていただければと思います。

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